無銭飲食

推しは太陽 私はひまわり

語彙力を培うための観劇日記

どうもこんばんは。

 

今回は、『Get Back!!』という舞台を観て来ました。

 

この舞台についてざっくり説明すると、普段俳優をやっておられる小笠原健さんが初めて脚本と演出を手掛けたものです。

 

あらすじをHPから引用させていただきます。

 

 

 

『もし、今日が最後だとわかっていたなら、あなたは誰に何を伝えますか?

主人公の薫は、夢も目標もなくただ毎日を何となく過ごしていた。そんなある日、喧嘩の末、意識を失い目を覚ますと、そこは自分が産まれる前の世界だった。戸惑いながらも、自分の若き日の両親と、その仲間達との奇妙な生活をスタートさせるのだが、物語は、薫が知らなかった結末へと向かっていくのだった。

生きる意味を見つけられなかった人間が、何のために生まれてきたのか、その意味を知った時・・
愛を知らなかった人間が、どれだけ愛されて産まれてきたかを知った時・・
母親にとっての子供とは、家族のあり方とは。目に見えるものだけが全てではない。目に見えないものにこそ、本当に伝えたい想いがある。

挫折感や劣等感と闘いながらも、懸命に生きる人々を描いた、感動のヒューマンドラマ。』

 

http://www.getbackstage.biz

 

設定としては鉄板という感じです。

 

ちなみに今回、私の推しは出演しておりません。

 

結論から言うとこの舞台……

めっちゃ良かった〜〜〜。

 

ネタバレしない程度に感想を綴っていきたいと思います。

 

まずこの物語は、両親という存在が大きく描写されているところが良かったです。

 

登場人物が結構多いのですが、ひとりひとりの両親との関係性が描かれていました。

 

私、いつも思っていたんですけど、物語の主人公とかその周りの人物って、かなりの確率で親から隔離されていますよね。両親が長期で海外旅行に行ったり、幼い頃に交通事故でなくなったり、あるいは全く両親に触れずに物語が進められていく。

 

その演出にいつも違和感を感じていました。まず親から自立していなければ物語が始まらない、みたいな感じが好きになれませんでした。どんな人間にもかならず父と母がいるはずなのに、全くそれを感じさせないのは人間らしくないというか。

 

でもこの舞台は違っていて、どんなに輝いている人間でも実は両親とうまくいっていなかったり、親の脛をかじって生きていたり、はたから見たらとても幸せにみえる家庭でも、本人は苦しさを感じていたり……。

人の数だけ親がある、ということを改めて感じさせてくれました。

 

そんな親子関係ですが、主人公は生まれた時に母親を亡くし、父親からは母の話を一度もしてもらえません。「自分は愛されていないんだ」という感情のもとに育ちます。

その後、前述したあらすじ通り、自分を身籠っている母と若い頃の父のもとにタイムスリップして生活を共にすることになりました。

そこで主人公は初めて自分が周りから祝福されて生まれてきたことに気づきます。

今まで無意味に過ごしてきた自分の人生は、母親が生きたかった人生でもあったと気付かされ、母親が死ぬまでの間、主人公は母親に何ができるかを考えます。

あえて言いませんが、主人公が悩み抜いた末に見つけた結末に思いがけず涙が止まりませんでした。

 

親と子というのがここまで丁寧に描かれた物語はあまりないと思います。

 

親子関係というのは誰しも必ずぶつかる問題ですよね。だからこそ、この舞台を多くの人に見てもらいたいです。

 

この舞台のもう一つのテーマとして、「夢」が挙げられると思います。

 

主人公は夢もなくだらだらと人生を送っていました。父親も日雇いの仕事ばかり。しかし過去にタイムスリップしてみたら、若い頃の父親は大きな夢を持った大工だったのです。

父親の周りにも夢を持った人がたくさんいました。しかしうまくいかない人もいるし、諦めかけている人もいました。みんなそれぞれの葛藤を抱えて夢に向かって進んでいる姿はとても美しかったです。

 

夢を持つのはいいことだ!持つべきだ!とは思いませんが、何かに一生懸命になってる人の姿はやはり素敵ですよね。

 

 

色々言ってきましたがこの舞台、主人公と今の自分がリンクする部分が多くて色々考えさせられてしまいました。

 

この脚本はおがけんさんじゃないと作れないな〜さすがだ〜!とひれ伏してしまいました。取材でもたびたびおっしゃっていましたが、自分や周りの経験を織り交ぜて脚本を作っているそう。主人公の名前が自分の弟の名前だったり、両親の馴れ初めを参考にしたり……!それを踏まえて見ると、よりリアリティが増しますよね。

 

いつも見てる2.5次元とはまた違った面白さで、とても良い舞台でした。

 

もうあと5公演しかないのが残念ですが、みなさんもぜひ見てください。現場に行かなくても私がDVDを貸します。